全国大会・老健医療研究会合同プログラム指定演題発表 レポート
(第4回老健医療研究会)
全国大会・老健医療研究会の合同プログラムで指定演題発表が行われる
■終末期、認知症、老健施設の医療、在宅生活支援、リハビリの5演題大会
2 日目の11月11日の午後には、全国大会・老健医療研究会合同プログラムとして、次の5 つの指定演題が発表された。
指定演題①「高齢者の終末期ケア」
平川仁尚氏(名古屋大学医学部附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター特任助教)
指定演題②「認知症」
玉井顯氏(敦賀温泉病院・介護老人保健施設ゆなみ理事長)
指定演題③「老健施設における医療行為」
藪野信美氏(老人保健施設岡山リハビリテーションホーム管理者)
指定演題④「医療と在宅生活支援」
佐藤龍司氏(介護老人保健施設しょうわ理事長)
指定演題⑤「介護老人保健施設のリハビリテーション」
野尻晋一氏(介護老人保健施設清雅苑副施設長、熊本機能病院総合リハビリテーションセンター副部長)
■5名の専門家が老健施設の現状や課題に言及
このうち平川氏は、高齢者の終末期の定義や緩和ケアの定義などを示し、高齢者の緩和ケアでは、身体的苦痛・精神心理的苦痛・社会的苦痛・スピリチュアルペインの4 点への対応が求められると説明した。そのうえで、多忙な業務のなかで高齢者の苦痛症状を短時間かつ正確に評価するためのツールとして、名古屋大学と愛知淑徳大学で共同開発した「名古屋式高齢者苦痛可視化スケール」を紹介。これは食欲不振・不眠などの28の苦痛症状の程度を漫画で3 〜 5 段階にわかりやすく表現しているのが特徴で、同助教の研究室ホームページ(http://hirakawa-lab.org/)からダウンロードできる。
一方、玉井氏は、福井県若狭町が2005年から町を挙げて認知症に取り組む「プロジェクト若狭」について報告。認知症サポーター養成講座などの啓発活動が進み、敦賀温泉病院を受診する認知症患者は重度者が減り軽度者へとシフトしている状況にあるとして、早期発見・早期対応のためにも、「こうした地域の認知症システムや認知症を正しく知るための活動が、徐々に周辺の町へと拡大していってほしい」と述べた。
また、指定演題③では藪野氏が、「老健施設の医療は、包括払いのなかでの日常的な管理と不測の急変への対応が中心になる。管理医師は、施設の人員体制・設備などを勘案して適切な医療の提供に努めなければならない」と発言した。さらに、「急性期病院の在院日数の短縮が進み、老健施設入所者は重症化し医療ニーズが高まっている。入所者の状態像がこのように変化するなかで、包括外の薬剤処方や他科受診などによる老健施設の負担は増加している。これらの改善などに、今後しっかりと対応していく必要がある」と、制度見直しの必要性にも触れた。
続いて佐藤氏が登壇し、「われわれはやはり利用者のニーズに的確に応え、在宅生活にいかに移行させるかを重視し、地域包括ケアの中核施設としての役割を担う必要がある。例えば、地域で生活する方が困ったときにはいつでも入所してもらい、また元の生活に戻っていただく。高齢者はこの繰り返しのなかで次第に衰弱していくため、最期の看取りもきちんと行う。これが地域に本当に必要とされる老健施設のサービスだと考えている」と語った。
そして指定演題の最後は、野尻氏が老健施設のリハビリテーションに関する発表を行った。このなかで野尻副施設長は、「中間施設としての通過機能、入所後の在宅支援機能、場合によっては次の施設へとつなぐ待機入所などの役割をわれわれは担っている。なかでも、通所・訪問・その他のさまざまなサービスと連携して在宅支援を行うことが最も重要である」と述べ、それに向けた自施設の取り組みを紹介。その上で、「食事・入浴・排泄・栄養をきちんと押さえた対応を行い、利用者の生活全般にしっかりとかかわっていくことが大切である」と話し、合同プログラムを締めくくった。
機関誌『老健』平成23年2月号掲載